闇の門 結界領域での冒険 小さなソイの呪縛〜夢の契約〜



プロローグ:序盤のピンチ 状態異常で生命の危機

5か月前…西暦2007年2月のあの日…、狂った狂犬と呼ばれ狂った狂犬のような人生を歩んでいた俺は、深夜のコンビニで突如起こった忌まわしき憤怒と怠惰の魔力暴走T&Tの大厄災に巻き込まれ次元のゆがみに干渉してしまい(モブキャラ)釣り人Aとして、「職業:冒険者」「属性:釣り人」というステータスを与えられ、この「小さな釣り冒険の世界」へと転移してきたのだが…ノンキな駆け出し冒険者は難易度低チュートリアル中ともいえる旅の序盤でさっそく釣り(いのち)に関わる状態異常を患ってしまい生命の危機に晒されたのだった。

状態異常ヌーア・クライネ・フィッシェ・ファンゲン・クランクハイト

低レベルの初級者によく見られる、状況判断・技術不足・知識不足が主因となって陥る状態異常であり最近ずっとこじらせているのが「小さい魚しか釣れない病」(ヌーア・クライネ・フィッシェ・ファンゲン・クランクハイト)、初心者3大疾病の一つにも数えられるこの病を完治するためには最低でもキープサイズの釣果が必須であり、甘くみて放置していると「属性:釣り人」にとっては精神に深刻な症状をきたす「魚がつれない(ボーズ)病」へ進行するやっかいな病気だ。

夜の埠頭 特別な夜 開放された防護結界の門

西暦2007年7月15日大潮…月の吐息に揺られ魚達の魂が輝きを放つ夜、港湾都市「フリー・デ・トマコマイ」特別警戒区域である 南ポート。この日は異国の船が入港していないのでテロ対策として不審な侵入者を防ぐ目的で設置された大規模防護結界が解かれゲート(結界領域)が開放されており冒険者(釣り人)の立ち入りも可能となっていました。

レッドゲジゲジ虫の誘惑、ソイ族の深淵

港湾近くにある宿屋も併設した冒険者御用達のショップ 釣人留(つりんちゅる)で最近購入してみたアイテム、錘の下に段差で針が2本ついている仕掛け。この仕掛けに生の虫エサ「レッドゲジゲジ虫」を刺して物陰に潜む根魚であるソイ族を狙う算段は既に画策妄想済み。長細い2本のレッドゲジゲジ虫が海底に舞い降りユラユラ交互に揺れて「すてき!食べたい」とお魚さんを熱狂させるシーンを妄想するのは胸が躍る。釣れる確率は0〜40%と予想。最近見つけた穴場ポイントに到着、埠頭右端の沈み根の脇に小規模なソイの集落(アジト)が形成されており、夜釣りでクロソイ族とたまに少し青みがかったマゾイ族が釣れる情報は掴んでいる。
しかし、やってみると釣れる事は釣れるんですが…皆、小さい。「おい!おいら達はまだお子様だゼ、社会通念上、道義的な観点からすればリリースするのが妥当だろ」とお子様に理路整然と論破され、都度海へお帰りいただく毎度のリリースオンリーな厳しい展開に…
2007 苫小牧ブラクリ釣果マゾイ

初級者の意気込みと微妙な釣果

今日こそはキープサイズの魚を釣って病気を完治させたいものだ。「ふんふん ふふーん」小さいながらも何かしら釣れるのは楽しいもので自然と鼻歌にも力がこもる。脇目も振らずひたすらセッセと魚さがしをしていると、やっと少し力強い手応えのクロソイ族が2匹続いて釣れてくれた。「んーこれってまだ小さい?普通?そもそもこの魚種のアベレージサイズが解らなくて判断に迷うが、まぁ良しとしておこう」。
ぽわーん「ん?」心なしか気持ちが浄化されるような感覚とともに、「…オメデト…デアリマス…」(何か小さな声が聞こえた気がしたが空耳だろうか)。

釣果による状態異常回復と予期せぬ恩恵は変な能力

すると、ピロン!…目の前にいつものステータス画面が現れ「状態異常回復のお知らせと、結界領域でのレア釣果ポイント獲得による結界感知能力Lv1の習得」!?予期せぬ新たな能力の習得を告知される。
「ん?」これはまた意味不明な……。この世界では体験に応じた経験値を獲得することで偶発的に能力が発現することがあるようだ。レア釣果ポイントとはこの2匹のクロソイ族のことか?コマセバケツの底に横たわり俺を見つめほほ笑む釣果たち。よくよく観察してみると1匹目に釣れた方はロングの黒髪で、2匹目はツインテールの髪型をしてるように見えなくもない。

夜釣りの終幕と幻想的な月の吐息

「あー、楽しかった!釣りっていいねー」今日釣れた中で比較的大き目なソイ族2匹をコマセバケツにニコニコとキープして終了。
満潮がせまる海面はサワサワ波打ち、雲は流れ夜空に丸い大きな月が姿を現わす。
「今日は満月で大潮かぁ、海面が高いなぁ」煌めく海を眺めていると、カタ…カタカタカタ…「ん?」突如、足元に置いてある魚を入れたコマセバケツの底を幻想的な月の吐息が包み込む。 ピカァッ!「こ…これは!」
2007/7/15 苫小牧釣果ソイ2匹


ソイ族の双子との出会い〜dreaming

実はキープした2匹のソイはこの地を統治するソイ族の長(おさ)の娘で、隠れ巨乳で上品なブラウスにフレアスカートのメガネっ子が姉「クロア」、同じく隠れ巨乳で語尾に「〜であります。」と軍人口調でベレー帽を目深に被ったツインテールが妹「クロエ」だった。
彼女達は困っている俺のようすを見かねて、呪縛を解きさらには結界感知の力を授けるために釣られてくれたのだと語る。
さすが異世界、なんだ?この都合よすぎる展開は!と俺のメタ視点が指摘する。「一体なんのために?」理由を尋ねようとしたその時、……抗いがたい眠気に襲われ意識が混濁する。
あ、れ…なんだか眠くなってき…た…ガタン…すーすー。
月明かりが雲に遮られ幻想的な月の吐息も霧のように消えていく。

……
揺れる波間で月の吐息に包まれた双子がほほ笑む「奇妙な感覚であります…あの狂犬に似た存在…かつて長靴を纏い大空より鼻歌とともに現れたという落雷の狂犬(メシア)に」「ふふ、そうね…おもしろいぼうや…ね。」
………
………んん…はッ!?…埠頭の隅であられもない姿で寝落ちしていた俺はガバっと跳ね起きる。「ソイ族の双子が消えてしまった…俺は夢をみていたのだろうか?」
だが、ステータスウインドを確認してみると悩みの種であった状態異常「小さい魚しか釣れない病」の呪縛は消え用途不明「結界感知能力Lv1」の力は表示されているのであった。


ファンタジー異世界風釣行記

2007年5月24日初ドンコ、拾った仕掛けでクロガシラ【苫小牧】

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関連サイト
—— 現在の苫小牧港釣り可能箇所はこちらでご確認ください。 ——
苫小牧港管理組合HP:苫小牧港内で釣りができる施設
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